氷解

060222.jpg私には、以前から妙な違和感を感じていたフレーズがある。一つは、世間一般のお父さんがよく使う「家族サービス」という言葉。もう一つは友人から言われる「(仕事の)ストレス解消法は?」という疑問符である。別に嫌悪感を覚えるわけではないが、ただ何かしっくり来ないというか、腑に落ちないというか、心にストンと落ちてこないような、そんな印象を抱いていた。

今日、とある大手生命保険会社の社長さんにインタビューさせていただいたのだが、話の中で先述した二つの違和感が一気に氷解した。以下は「オン・オフの切り替え」について、質問したときの社長さんの言葉である。

「オン・オフって言うけど、私にはそれがよく分からないんですよね。仕事をしているときの自分もオンだし、家族といるときの自分もオン。だから、どっちも負荷を感じることはありません。よく『休日は家族サービス』って言う社員がいるけど、私から言わせてもらうと『何を偉そうに!』って感じですね。遊びに行くのは、自分が楽しむからであって、『家族サービス』じゃあないでしょう。むしろ自分がサービスしてもらっているくらいに考えた方がいい」

なるほど、「オン・オフ」という言葉は、仕事は「楽しくなく、苦しく、頑張るもの」、アフターファイブや休日は「ラクで、楽しく、頑張らないもの」という前提の上に成り立っているのだ。そして、私が違和感を覚えていた「家族サービス」や「ストレス解消法は?」というフレーズも、同じようなロジックの上に成り立っているに違いない。

私自身は、ほぼ一日中仕事漬けの毎日だが、これを「オン」と考えたことは無い。もちろん「オフ」でもないが、少なくとも「楽しくなく、苦しく、頑張るもの」という発想は、多分無い。だからこそ「ストレス解消法は?」という問いに対し、相手が満足するような答えを出せないのだと思う。

ただ、そんな自分の状況が好ましいことなのか、その点は自分でもよく分からない。

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