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ウチの事務所の近くには、幾つかの銭湯がある。写真は、大久保通りを神楽坂方面へ進んだところにある「第三・玉の湯」。私はまだ行ったことがないが、本間さんが事務所泊まりで仕事をするときに常用しているらしい。
銭湯を見るたびに思い出すのが、とある知人のことである。その知人は下町育ちなのだが、小さな頃から風呂が無い家に育ち、「銭湯通い」が日課だったという。彼の年齢は30代半ばだから、時代的なものを考えても、風呂無しの家とは何とも珍しい。話を聞くと、風呂が作れないほど貧乏だったわけでもなく、家屋設計上の制約があったわけでもないという。
その理由は、何と「銭湯への義理」とのこと。要は「家の中に風呂を作っては、昔馴染みの銭湯のオヤジに申し訳が立たん!」とのことで、父親が家に風呂を作ることを頑として拒んだのだという。話を聞いたときは、そんな義理人情話がこの時代でもあるんだと驚き、ちょっと嬉しくなったことを今でもよく覚えている。
そういった話で言うと、私はここ2年ほど自炊というものをしていない。それは、近所の定食屋に義理があるからだ、という論理は成り立たないだろうか。
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