ライターとデザイナーの視点

060714.jpgCUE2006夏号が校了となったが、編集作業の後半の過程で、少々興味深いやり取りがあった。特集の中にある「Focus!」という記事のデザインについてである。文字の背景に、パソコンに向かう子どもの写真のコラージュが入ってあったのだが、私は初校段階で「この色をもう少し薄くしてほしい」とデザイナーの林氏に依頼した。あまり背景が強いと、文字が読みにくいからである。

その後、出てきた再校も「まだ少し濃いかな…」と思いつつ、背景がこれ以上沈むと逆のデメリットもあるかと思い、そのまま進めていた。すると、第一法規の編集部の方から、同じ部分について「もう少し薄くしてほしい」との依頼があった。なるほど、私の感覚は文字を中心にチェックする第一法規の方と似通っているのだなと思った。

このケースの場合、おそらく多くのデザイナーは「コラージュを浮き立たせた方が読者の目を引いて読んでもらえる」と言うであろう。一方で、ライターならば「主役はあくまでも文字。文字が読みにくくなるようなデザインはよくない」と言うに違いない。この辺は、職業的な視点の違いなのだが、実に面白い。

結論を言えば、この議論に正解はない。結局は、誰かが半ば独善的に「決断」を下し、その内容に責任を持つというのが、正しい本づくりなんだと思う。いちいち多数決なんか取っていては、一向に本づくりは進まない。

幸いにして、「CUE」のデザイナー・林氏は、その辺の事情をよく理解してくれているので、非常に仕事はやりやすい。

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