必修漏れ404校

061026.jpg高等学校の必修漏れが全国で41都道府県、計404校に上っているという。全国の高校の数が、国公私立あわせて5,385校だから、大よそ1割近くの学校が、必要な授業をしていなかった計算になる。このまま調査が進むと、ひょっとしたら2~3割の学校が、該当してしまうのかもしれない。恐らく、すでに卒業した生徒の中にも、必修単位を消化しないまま卒業証書が交付され、大学へと進学している者がいるにちがいない。

生徒たちは、学習指導要領に記載されている必要履修時数のことを知らない。学校側が作った時間割に沿って、粛々と授業を受けていくだけの話である。その意味で彼ら彼女らに何ら罪はない。だが、その責任が学校や教育委員会だけにあるのかと言えば、そうとも思わない。問題は、社会全体が「受験」という魔物に縛られ、多少のルール違反を犯してでも学歴を追い求めている風潮そのものである。都市部では、私立中学受験のために、6年生の3学期は学校を休んで塾に通う小学生さえいる。

今回の一件では、教育委員会の監督不行き届きを糾弾する声が上がっている。その流れは、教育委員会制度の見直しを進めている教育再生会議の論議に合流しつつある。だが、これは問題のすり替え以外の何者でもない。世間の声を都合よく利用して、教育改革を乱暴に進めることだけは、許してはならない。

comments

私も基本的な根底は、
大学受験制度とその先にある会社の雇用実態にあると思います。
今も感じてはいるのですが、
「許す」社会など実際には、日本では実現できておらず、
「やり直す」ということに少々冷たい社会であり続けていることに起因していると考えます。
、とたまにまじめなコメントをしてみました。

と、名前を書くのを忘れていました。
まあ、大げさな物言いをしてすみません。

kitanoさん、コメントありがとうございます。さすが教育担当らしい分析ですね。

ふと思ったのですが、私たちも実は単位が不正に支給されて卒業されている可能性があって、「ダメなものはダメ!」と原則論を振りかざされると、高校卒業資格が取り消され、大学入学資格も取り消され、中卒になってしまうかもしれません。いっそそうなったら面白いなぁと思っているのは、私くらいでしょうか。(笑)

公私問わず、未履修校数はうなぎのぼり! 

この問題、どんな風にも味付けできる便利な素材になっちゃってます。

世界史の補習はゼッタイ必要となるなら、佐藤さんの言うように教育委員会制度の見直しや、学習指導要領の強化につながるでしょうし、
補習しなくても卒業OKなら、高校改革は加速するのでしょう。

卒業単位も、愛国心もいじめもバウチャーもごちゃ混ぜの議論が、現在国会で進行中です。

書き手としては安易にこの手にのらないよう(のせないよう?)自戒せねばならないと思います。

Nagaoさん、コメントありがとうございます。Nagaoさんがいた日本教育新聞は別として、一般紙はこぞって「教育がおかしい」的な記事を掲載しているようで、それが「ごちゃ混ぜの議論」を後押しする格好になってます。確かに、私たちは書き手として安易にこの手に乗らないよう気をつけないとダメですね。