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先月、京都出張が終わった後、一つ大切な用事を済ますために大阪へと出向いた。その電車の中で、一眼レフのデジタルカメラをいじっていると、隣に座っていた初老の男性が声をかけてきた。
「ええカメラですねぇ。これ、高いんでっしゃろ?」
コテコテの関西弁。私は一瞬戸惑いながら、「ええ、仕事用のものですから…」と答えた。
「いくらくらいしますの?」
「レンズとあわせて30万円くらいですかね」
「はぁ~やはりプロの方はちゃいますね~」
「いえいえ、プロのカメラマンというわけじゃないんですけど」
そんなたわいのない話をしながら、私とその人は、同じ大阪駅で下りた。話によると、次に乗る線も同じ御堂筋線とのことである。さらに話は盛り上がり、その方の仕事のことに話題が及んだ。
「私は滋賀で土木関係の仕事をしてましてねぇ」
「えっ?私、実家が大津なんですけど」
「どの辺ですか?」
「いや、瀬田川沿いの南郷洗堰の近くの住宅地で○○という…」
「えっ、あそこでしたら、私造成にかかわりましたよ!」
何とも世の中は狭いものである。
私が3歳から18歳まで過ごした住宅地を「工事した」という人と、こんな所で偶然にも出会うとは。
その後、すっかりその人に好かれてしまった私は、次の駅までの切符までプレゼントされてしまった。そう言えば5年前、ローマからフィレンツェに向かう電車の中で、実家の近所に住む人と出会ったことがあった。世間は狭いというが、どんな人とでも話してみると、何かしらの共通点というのが出てくるのが世の中なのかもしれない。
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