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自営業をやり始めてから気づいたのは、毎月25日になると必ず預金口座に一定の額が振り込まれるという仕組みの凄さである。当たり前だが会社の売上は毎月一定ではないし、個々人が平等に稼いでいるわけでもない。でも毎月25日になると、1000万円分の貢献をした人も、数万円の貢献しかしてない人も、数十万円という一定の金額に均等化された給料が支払われる。
一見不平等に見えるが、もし「実質的な稼ぎ」を給与にダイレクトに反映させると、恐らく7割の人間は生活すらできない給料になってしまうだろう。そうなると、社会の治安は悪化し、消費も不安定になる。なので、稼ぎを皆で分け合い、社会全体が健全に回っていくよう配慮がなされているのである。社会主義的な支えあいの精神とでも言えようか。そんな平等観に支配された社会も、決して悪くはない。最近は、そんな構造が崩れ、「勝ち組」と「負け組」を明確に区別する方向へと動いているようだが…。
毎月の給与額の「根拠」を本気で突き詰めてみると、実に様々な面が見えてくるに違いない。誰かが得をしたり、楽をしたり、搾取したりして、様々な足し算・引き算があり、その結果として個々の社員の給与が決まる。掘り下げれば実は矛盾や不平等だらけ。でも、そんな面倒なことは考えず、身近な周囲との比較から、給与が高いとか低いとか言い合い、与えられた毎月の給与をベースに諸々の家族計画を立て、小さな幸せを得る。その方がずっと利口な生き方なんだろう。