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今、ドラマで『Dr.コトー診療所』をやっているらしいが、この原作漫画は、私が読み続けている数少ない漫画の一つである。南の海に浮かぶ離島に赴任した医師・五島健助が、島の人々の様々な病気や怪我と向き合い、天才的な外科技術でもって対処していくストーリーで、小学館の『ヤングサンデー』で連載されている。医療や離島医療の現状を知る上でも、とても勉強になる漫画だが、残念ながらドラマの方は観たことがない。(何しろ「テレビ断ち」をしている身なもので…)
漫画の中で、好きな場面が一つある。大病院の院長に「キミはなぜ離島の診療所なんかにいる。離島医療には、一体何があるんだね?」と聞かれたコトーが、こう答えるシーンである。
「ここ(大病院)にはないすべてです」
大病院は外科や内科、整形外科、産婦人科などに分業化され、治療もシステマチックに進められる。だが、離島医療は、さまざまな病気のすべてと向き合っていかねばならない。「一人の患者と向き合う」というDr.コトーの医者としてのスタンスが、この台詞に集約されている。
少々飛躍しているかもしれないが、出版社と編集プロダクションの関係も、少々似ていないだろうか。大きな出版社が分業化されているのに対し、小さな編プロは、総務・経理・営業から制作まで、一人の人間がそのほとんどすべてに携わらねばならない。もちろん、かかる責任やプレッシャーは重いが、完成させた際の達成感は大きい。書籍を作るうえで、「大きな出版社にはないすべてがここにある」と、私は思っている。
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