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世にも美しい数学入門

070110.jpg私は小中学校時代を通じて、比較的得意教科、不得意教科が少ない方であった。強いて得意・不得意を挙げれば、得意だったのが「現代文」で不得意だったのが「数学」だと思う。特に高校時代の「行列」や「関数」には随分と苦労させられた記憶がある。当時は、「こんな学問、社会に出ても何の役にも立たないだろうに…」なんて、不満を持ちながら、問題集と格闘していたものだった。

そんな数学嫌いな私が、不覚にも数学の本にハマッてしまった。『世にも美しい数学入門』という本で、数学の魅力、美しさなどが、数学者の藤原正彦氏と作家の小川洋子氏による対談形式でまとめられている。中でも興味深かったのが、「フェルマー予想」に関する記述。この不定方程式の証明に多くの学者が挑み、中にはそれだけで人生を無駄にしてしまった研究者も山のようにいるとのことであった。ちなみに、「フェルマー予想」は95年にアンドリュー・ワイルズによって完全証明がなされたが、フェルマーが予想を立ててから、実に360年後のことであった。

藤原氏が本の中で、「数学者はある種ストーカーのようなもの」と言っているのが、印象的であった。一つのものに執着し、常に頭から離れず、追いかけ続ける。そんな資質がないと、数学者は務まらないらしい。でも、考えてみたら、世の中「一流」と言われる人たちは、皆、そんな資質を持ち合わせているんだろう。「バカと天才は紙一重」なんて言葉があるが、現代風に言えば「天才とストーカーは紙一重」といったところであろうか。