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私は高校生くらいの頃から日本の教育制度に対し疑問を抱き始めていたが、その問題意識の輪郭を明確にしてくれたのが、本田勝一氏の『子供たちの復讐』という本であった。兄に薦められて読んだ本だったが、内容の壮絶さに引き込まれ、ただの一度も休憩を入れることなく上巻の半分くらいまで読み進めてしまったように思う。
内容は、いわゆるルポルタージュで「開成高校生殺人事件」を主たる題材として書き進められている。この事件は、息子の家庭内暴力に思い悩んだ両親が、自らの手でその子を殺害してしまう悲惨な事件で、殺された少年が都内随一の進学校・開成高校に在籍していたことから、受験戦争の歪みを象徴する悲劇として、かなり話題になったらしい。本書では、殺害に至るまでの出来事が生々しく綴られているが、殺された少年と自らの境遇を思い重ね、感じたことのない恐怖心に襲われたことをよく覚えている。
人間には、誰にでも自らの人生に多大な影響を与えた本というのが存在するが、私にとって『子供たちの復讐』はそんな書籍の一つである。朝日文庫から出ているので、興味がある人は是非読んでみてほしい。もう20年以上前に書かれた本だが、投げかけている問題の本質は、未だ解決されていないと私は思う。