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今日、地下鉄王子駅の通路を歩いていると、向こう側から年配の5~6人の女性たちが、楽しそうに会話しながら歩いてきた。会話の中身は実に他愛無いものだったが、声の大きさだけは際立っていて、狭い地下通路に耳が痛くなるほど響き渡っていた。「○○だったね~」「そうだね~」「そうだったね~」といった感じで、本当にどうでも良いことばかり。でも、それはそれで楽しそうに見えた。
普段、集団でおしゃべりする機会が少ない私なんか、これだけの人数で上辺をなぞるような会話をしていて何が楽しいのかとと思ってしまうのだが、きっと彼女たちにとってはそうしたお喋りの方が心地よいのだろう。「1対1」の対話とは異なり、場の空気に支配されながら、短いフレーズを飛ばし合うグループのお喋りは、互いの価値観や人間性に触れずに済む。さらに言ってしまえば、「思考停止」状態でも問題ない。その楽しさ、居心地の良さは、何となく分からないでもない。
そういえば数日前、レストランで昼食を食べているとき、5人組の年配の女性客が入ってきたが、店員が「2人、3人の席に分かれてもよろしいですか?」と聞くと、実にばつの悪そうな表情をしていた。きっと、彼女たちにとっては「5人」という単位こそが、秩序を保ち、心地よいお喋りのできる適正な人数なんだろう。