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映像の仕事をするようになってから、数々の業界用語を知るようになったが、今回もまた一つ、新たな言葉を覚えた。役員席に座る専務ごしに人事部長を映すシーンで、カメラマンの石川さんが「ちょっとセッシュウしませんか?」とディレクターの本間氏に聞いた。本間氏は「いいよ」とのこと。セッシュウ?何のこっちゃと思い「どういう意味?」と聞くと、本間氏は笑いながら「セッシュウは人物のことだよ」と答えた。
あとで詳しく聞いたのだが、例えば手前に座る人物の肩をなめて(画面の一角をかすめて)、向こう側の人物を撮るという場合、通常のいすの高さではうまく撮れないケースがある。こんな時、映像的演出でいすの下に厚めの座布団などを敷いて調整することがあるが、これを業界用語で「セッシュウ」というらしい。水墨画で有名な雪舟のことかと思ったが、どうやら日系ハリウッド俳優に早川雪洲という人がいて、この人の背の低さカバーするために5センチほどの台を用いたことが語源になっているらしい。
ちなみに「笑う」は、画面に入らない所へ「隠す」「片づける」を意味する。ロケに立ち会う皆さん、「これ笑っておいてください」と言われて、突然笑い出したりしないようにどうぞご注意を。