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罪と罰

080630.jpgある高校の野球部の監督が、イタリア・フィレンツェの大聖堂に落書きをしたことが発覚し、大きな波紋を呼んでいる。もちろん、貴重な文化財への落書きはよくないが、少々世間が感情的になっている感もなくはない。あるテレビ局などは、監督の近所の人にインタビューをして「真面目な、いい人だったんですけど・・・」などのコメントをとっていたが、犯罪者じゃあるまいし、そんな報じ方はいくらなんでもな気がしないでもない。

今回、報道のポイントとなっているのは、「世界遺産」という言葉ではないだろうか。この大聖堂は「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」と言い、初期のルネッサンスを代表するゴシック建築で、日本では『冷静と情熱の間』で登場したことで、一躍有名となった。私も7年ほど前に行ったことがあるのだが、ちょうど映画が放送された直後とあって、聖堂の頂上が日本人だらけで驚いたことをよく覚えている。

いわば、ごく普通の「観光名所」といった風情なのだが、これが「世界遺産」という言葉で報じられると、途端に「落書き」イコール「とんでもない犯罪」という社会的認識が生まれてしまう。確かに落書きは感心しないが、観光地の壁に落書きをする人間はごまんといるし、それで懲戒解雇なんぞ食らっていたら、ハローワークが忙しくなって仕方がないだろう。もう少し「罪」に対する「罰」の重さを社会全体が冷静になって考えてみる必要があると思う。

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