書を捨てよ、町へ出よう

最近、酒をたしなむ機会が多くなった。
言い換えれば、毎晩自宅で一人酒をしている。

酒は、うまい。心からそう言える人間になってしまった。

そうは言っても、私が飲むのは専らビールで、たまに日本酒を啜る程度であるから、酒豪になったというわけではない。相変わらず弱い。それにどちらかといえば、ワイワイ居酒屋で騒ぎながら飲むよりは、一人で漫画とか読みながら飲むほうが好きだ。

けれどもたまには外に出て飲みたい気分のときもある。
そこで最近は、一人で個人経営の小さな居酒屋やバーに入ったりしている。そういったところには、大抵マスターや女将さんがいて、こちらが望みさえすれば気さくに話をしてくれる。またマスターを通じて、ほかの客と会話が弾むこともある。この前は、隣席になった中年女性2人組と小学校教育の話題で盛り上がってしまった。聞けば、息子さんが私と同い年なのだという。「それがチャラ男でさぁ…」と、話しはどうすれば息子が立派な青年になるのか、といった話題に流れ、私は「経験を積めば…」とか「時間がたてば…」といった全く説得力のない希望的観測を二、三吐いた気がする。そして私の隣では、駅前でそば屋をやっている親父さんが、「うん、そうだ、そうなんだ。」としきりに相槌をうっていた。

こういった酒の席は楽しい。混沌とした雰囲気の中にも、時おり相手の人間性が垣間見られる場面があって面白い。何だかたくましい気持ちになる。不思議だ。生身の人間と酒を交わしながら語り合うという行為は、たくましくなるための必須条件のような気さえしてくる。
もっと、人間を知れ、ということか。

なんだか良いこと言ってる風に聞こえるが、要は酒が飲みたいだけである。
そしてとりあえずはそれでいい気がする。

                                                   (澤田)

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comments

酒をたしなむ男になりましたか◎いいですね、大人の男ですね。
酒を介すことにより、日ごろ無意識に作ってしまっている壁が取っ払われる気がすることがあります。「無礼講」とまではいきませんが、良くも悪くも人の「生々しい」部分が見れる気がします。
うまい梅酒が飲みたいです。

ダチーノさん、コメントありがとうございます!ダチーノさんは確かかなりの梅酒派でしたよね。自分で梅を漬ける日も、そう遠くないのでは(笑)。
中野には良い感じのバーがたくさんありますよ。また近いうちに飲みに行きましょう!

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